『蟹の舞』
365日の日暮れを
きつめのゴムでひっぱられ
パンティの萌え萌え柱は、全くなくて
チェーンうどん店の並ぶ街道とを
ラブホテルのキャッスルタワーを軽い鼻笑いギャグにして
毎日、最終日はいつかわからない、地点からゴムで引っ張られる毎日
<<あとがき>>
ある宴席でお酌をしてお話のお相手をして場を華やかにする、というお仕事をしてまいりました。
お酌要員に数名の女子を宴席に設けるなんて、なんて羽振りのいい人たち、遊びなれた役員さんたちなんだろうな、と思ってましたら、
人のよさそうな、飲んでもアラワになったりしなさそうな、365日正直にマジメに生きてる感じの方々でした。
演劇人生15年、色々なバイト・・・いや偏ってるかな?、をしてきましたが、
‘お酌、お相手、そしてあしらい’みたいなバイトには全く縁がなくて、
39年目の初体験。
そういうお仕事のしきたりとうものが全くわからず、
社長からの「集合6時」メールも「ブームの‘朝活’か、仕事に差し障りないように朝食宴会なんだな」と、朝の6時と勘違い。
規定の服装の「スーツ」もリクルートスーツを持参したら、要カラースーツで、
社長から、レモンイエローの80年代風の若干ミニのワンピースに、黒の半そでジャケットをお借りしました。
二十歳まで住んでいた池袋のマンションに住んでいたフィリピンの方々みたい、ルビー・モレロだな、バブルだな!と思いながら、
ミニのレモンイエローで、いざお酌とお相手。
お話のお相手が肝心だ!まずは、お話のお相手に誘わないと、と
自動車関係の方々だったので、前日の新車宣伝のアルバイトで聞きかじった少ない情報を、
パンの生地をこれでもかってくらいに麺棒で引きのばすみたいに、一言一言大げさにはなしてはみたものの、
あんまり知らない情報だったようで、なんとなく終わって、お誘いうまくいかず・・・
こういう時、八嶋先輩はどう話題をもっていくんだろう、プリさんは?レオさん(澤田育子さん)は?
こういう時に必ず思い浮かべるお三方。
「沢山飲んでもらっちゃお〜う!」「それじゃ、放置プレイですよ〜」「もっと若く言ってくださいよ〜」
周りでは、先輩方の軽いうまいあしらいトークが聞こえます。
その横で、「いや〜生きていくのって本当に大変ですね、本当にお疲れ様です」といってる私。
何でこんな流れになってしまったのか・・・・・
そこに一つの光が!?
「あなた、失礼だけど、お国はどちら?中国人?顔立ちとか言葉がちょっとかわってるなと思って」
と一人のおじ様。
周りの方々は、失礼な事この人いっちゃったなという感じで
「俺はそんなこと感じなかったけど」といってくださってくれましたが、
これは、話題づくりの助け舟です、大丈夫、ありがとうございます!
「あ〜、私の国の、一番有名な、お茶ね、どうぞ」
一瞬ポカンとする、まわりの方々。
や、ヤバイ・・・。伝わらなかったか・・・。明らかに中国人じゃyなくて、北米人だよ、このものまね!
馬鹿、馬鹿、馬鹿ーーーー!へたくそーーーーー!あーーーもうっ!中国人物まねの上手い米田弥央に習っておけばよかった。。。
「・・・・・・はっ、はははは。そうだね。(お茶)もらいます。」
みなさん、本当にいい人たちでした。。。
そして、なんとなくの会話が続き、しめの雑炊が出たときくらいにぽっと言った一言が
皆さんの興味を引き、隣のテーブルの方々も耳を傾けてくださることになったのです。それは、
「私、劇団員なんです」
そこからは、「坂のよう」でした。
劇団員とはなんなのか、みんな色々なバイトをして、芽が出るのを信じてやってる‘劇団員’という事なのか、
何年やってるのか、何年夢をおいつづけているのか、いつかね、いつか信じてればかなうかもだもんな、
そう、有名な人はいるの?でもいわれてみれば、劇団員ぽいよな、身振りと表情がおおきい。
そう、大変だね。やめずにやってきたんだね。あっ、沢山食べなさい!食べられないでしょ。残さないで、食べなさい。
名前は?いつかね。
素性がしれた途端に、親近感をもってくれたようで、なんでしょ「貧乏」っていう親近感か同情か、
皆さんのこちらにむけてくれる顔がかわりました。
しかし、盛り上ったところで、宴会終了。お勤め終わりです。
お酌のお相手は、劇団員。
素性・・・、話は盛り上りましたが、あかすべきだったのかあかさなくてよかったのか。
なんか、考えてしまいます。
素性をあかさず、話がもりあがるのが一番ベストのような・・・
お金を頂いてするお仕事、責任もって勤めないといけません。
あの方々の身を削って作ったお金が私たちの給金になっていると思うと、なんともいえない気持ちです。
もっと性格の悪い、嫌な人たちだったら逆に良かったのですが・・・
あのお三方の先輩なら、どんな仕事でも、お給金分しっかりつとめるんだろうな・・・
それが、プロ、ですね。
お客さんに助けていただいてしまった、お勤めになってしまいました。
「わらわれてるんじゃダメ、わらわせなきゃ・・・・・」
「熊の親切」の台詞が頭をめぐります。
レミーマルタン・コニャックでした。おやすみタバタ☆☆☆