『大ラーメン豚入り野菜増し油増し』
知ってる人は知ってると思います。
超人気ラーメン店『ラーメン二郎』。
どーもお疲れ様です亀岡です。前にも一度このカムめくりでも紹介させていただいた、『ラーメンマルジ』改め『ラーメンフジマル』とは、見た感じは似てるんですが、別物です。
そして、今日のタイトル。写真のラーメンと、恋人達。一見結び付きそうもない二つの単語ですが、これは、そんな二つを結び付ける、つい最近の話です。
先日、実家にいて、腹が減ったので『ラーメン二郎』に行ったんです。
うちの実家から歩いて5分の所にある『ラーメン二郎』目黒店。
着いたら案の定すごい列。でまあそこにしばらく列んでたんですが、僕の結構前に、一組の若いカップルが列んでたんです。『あーさすが人気店、カップルもそりゃ来るか。』とか思ってて、で、段々列んでる列が、こークネクネってなってるんですが、ちょうどそのクネクネの関係上、結構前にいたカップルが、僕のすぐ近くに来たんです。
別に特に話を聞くつもりはありませんでしたが、なにぶん近かったんで、会話も聞こえてきてしまいます。
男『いやここマジやべえから、ぜってえマジ大盛りとかマジいかねえ方がいいから。』
女『えー、でもあたし結構食べるんだけどー。この前どんべえの特盛り食べたし。』
男『え?マジで?』
女性には申し訳ないが、どんべいの特盛りとは訳が違う。彼女がどれだけ食えるかは知らないけど、この店はそんな生半可なあれでは食えない量が出てくる。
まあそんな事を考えながら何となく会話を聞いていると、店のカウンターの中から、
『ご注文何にしますかー?』
店長の声。
この店は、基本のメニューが『小(しょう)ラーメン』と『大(だい)ラーメン』で、店内の券売機で食券を買うんですが、ここはほんとによく混むんで、回転をよくする為に、まず、お店に入る前に注文を聞かれるのである。初めて来る人はまずここで混乱する。
慌てて店の中の券売機を覗き込みながら男が注文する。
男『えーっと、小ラーメン野菜増しで。』
店『トッピングは後で聞くから!』
出た。初めて来る人が陥るもう一つのトラップ、『トッピングトラップ』である。本来店の中に入ってカウンターに座ってからトッピングの注文を聞かれるのだが、もちろん初めて来た人はそんな事はわからないから、注文聞かれた時に答えてしまう。仕方ない事なんですが、このミスに対してこの店の店長はしこたま厳しい。これを見るかぎり、なんか色々言ってた男も、どーやら初めてらしい。
『トッピングは後で聞くから!』
この語気の強い店長の言葉にビビった女も、慌てて店内の券売機のメニューを見る。
店『注文は!?』
急かす店長。焦る女。
女『…オオラーメンで。』
店『え?何?』
女『オオラーメン。』
店『え?何?ラーメン?はいラーメンでいいね、はい、次の方。』
女は焦ったあまり、大(だい)ラーメンの事をずっと、『オオラーメン』って言ってました。で、結果、店長は『オオ』の部分が聞き取れず、『ラーメン』、つまり普通の小ラーメンの注文になったのです。
男『あれ、大(だい)じゃね?』
女『え?あー、あれ大(だい)って読むのか。ってゆーかあたし初めてなんだから一緒に頼んでくれればいいじゃん。』
男『だって何頼むか聞ーてねーし。』
店長の語気の強い言葉による怒られた感で、若干雰囲気が悪くなる二人。
ここで、またクネクネの関係上、カップルと僕は離れてしまい、その後の会話は聞こえなくなってしまいました。
はじめはそんなに興味もなかったんですが、この時点では、もうすでにあのカップルに釘づけです。
しばらく目で追っていると、ようやく店内に入ったカップル。店内に入って、男が何やら店長に話し掛けている。何やら一喝する店長。おそらくまたトッピングを注文してしまったんだろう。男はどーしても野菜増しにしたいらしい。その後ろには、さっきまで仲良く喋ってた女が、まるで他人かの様に佇んでいる。
そしてようやくカウンターに座るカップル。ここでまた僕とカップルの距離が近づく。そしていよいよラーメンがカウンターに出される。
男『うわっ、野菜増しマジやべえ。』
男、念願の野菜増し。
女『うわあ、大盛りマジやばいんだけど。』
女は大盛りを頼んだつもりだったが、やはり出されたのは小ラーメンだった。まあでも気がついてないし、何より、ラーメンが来た事によって、他人にまでなりかけた二人がまた仲良くしだしたのを見て、改めてラーメンの力ってすげえなって、そんな風に思いました。
そしてしばらくして、僕も例の注文を済ませ、そろそろ店内に入ろうかという時、カップルの存在も忘れかけてた僕の目に、再び二人の姿が。
最後に二人を確認したのが10分前。男の前のラーメンはほぼ空の状態。問題は女の方である。
ノビてる。
完全に麺がノビてる。あまりにペースが遅かった為、ほとんど食べ始めた時と量が変わらない状態。そこには、『この前どんべえの特盛りを食べた』彼女の姿は何処にも存在しませんでした。
カウンターから店長の『もう空の丼下げていいですか?』攻撃に『まだちょっと残ってるんで』と何度も繰り返す男。
もはやラーメンの上のモヤシを二、三本ずつ食べるしか出来ない女。
そんな二人を見て思いました。
何で来たんだ。
男も手伝ってあげればいいのに、『早く食えよ、マジ俺いづれえんだけど。』とか言ってる。最低な一言にまた雰囲気は一気に悪くなる。
そして気がつくともう僕もカウンターに座る順番。
女の隣の席が空く。
『こちらの席どーぞ。』
なるべく見ないように座る僕。無言の二人。そして、水を取ろうとしてちょっと横を向いたその時、女の顔が目に入りました。
彼女は泣いてました。
多分男と僕以外気がついた人はいないと思います。
ラーメン屋さんに来て泣くって…。
彼女の前のラーメンは、もうすでにモヤシもなくなり、無惨にも大量に汁を吸い込んだ麺だけが地獄の様に残っていました。
ほんと何で来たんだよ。
結局、そのカップルより僕の方が先に食べ終わってしまい、事の顛末はわからず仕舞いだったんですが、おそらくあのカップル、長続きしないと思う。
ちょっと思いがけず長くなってしまいましたが、今稽古に参加してる劇団のメンバーでも、二郎に興味持ってる人が何人かいるみたいで、今度行こうって話になってます。
みなさんも、もしも行く機会がありましたら、是非とも、何度か行った事のある人と行かれるのをお勧めします。
そんな、先日の出来事を思い出した、今日この頃でした。
それでは、また。